知っておきたい政府労災のこと

知っておきたい政府労災のこと

政府労災と健康保険のダブル保障

「政府労災」、よく耳にする言葉です。でもその中身となると「そうだったのか」と思う所が多い方がほとんどだと思います。 先ず、政府労災の正式名称ですが、「労働者災害補償保険」です。この保険の運営主体が政府なので「政府」という冠が付いています。この保険の目的は「業務上や通勤途上のケガや病気に備える保険」です。補償の範囲が「業務上」や「通勤途上」に限定されていることが大きな特徴といえます。

では、業務外のケガや病気は、どうやって補償してもらうのでしょう?ここで、おなじみの「健康保険」が登場します。我が国の社会人のほとんどは、「業務上・通勤途上」は「政府労災」で、「業務外」は健康保険で、この2本立てでケガや病気の補償を受けていると言っても大きな間違いではないでしょう。

さて、この政府労災は、事業所単位に適用される保険です。たとえ1人でも労働者を使用する事業所はこの保険の適用範囲となります。 一方、労働者個々人に適用されるものではありません。従ってこの保険には被保険者(いわゆる加入者)という考え方がありません。被保険者という考え方がありませんので、労働者にはこの保険に関する費用負担もありません。政府労災保険の保険料(掛金)は事業主が全額負担します。

この文章をお読みの方で、政府労災の加入手続きをされた経験のある方は少ないのではないでしょうか。個々人にあまりなじみがないのは、このあたりに原因があるのかもしれません。

なじみは薄いかもしれませんが、政府労災は雇用形態の如何にかかわらず、労働の対価として賃金の支払いを受けている方々総てに適用される大事な制度です。今回はこの点を強調して終わりにしたいと思います。